日本で看護師資格があれば、一定の条件をクリアすると海外でも看護師として働くことができます。
海外での働き方には、国際ボランティアと国際看護師の二つの方法がありますので、どちらか自分の望む働き方を選ぶことができます。
また、国際看護師として働くには、その国ごとに条件や待遇が違いますので、情報収集をしっかりしておく必要があります。
日本なら働いてみてイメージと違っても転職するという選択肢がありますが、海外ではそれほど簡単には行かない可能性があります。
看護留学に関して
日本の看護師資格を持っているからといって、すぐに海外で働けるわけではなく、その国で決められた教育を受ける必要があります。
大学に行きながら看護と語学の勉強をしなくてはいけません。働くまでに何年もかかるのです。
働く時も大学の授業も試験も当然英語で行われますので、まずは英語力を磨かなくてはいけません。
そのため、国際看護師になる準備として、看護留学をする人も増えています。
その国ごとに勉強の期間や内容が違いますので、働きたい国に留学をして資格取得をする必要があります。
どの学校に通うのか、住むところはどうするのか、留学に行くための準備も簡単ではありません。
留学をサポートしてくれるエージェントも多くありますので、そういうところから情報収集をしてみるのも良いかもしれませんね。
看護留学で人気の高い国、アメリカ、オーストラリア、カナダでの資格取得の条件や、労働条件などの特徴をご紹介します。
最新医療技術を学ぶならアメリカ
なんといっても医療技術の最先端であるアメリカは人気です。
看護師の資格取得の条件等は州によって違いはありますが、試験に合格をするとアメリカで働くことができますし、永住権を取得することも可能です。
アメリカでは日本以上に看護師の地位は確固たるものがあります。
その職種も細かく分かれており、正看護師、準看護師、看護助手、麻酔看護師、高度実践看護師、ある一定の診断と治療ができる看護師もいます。
さらに、アメリカは実力主義ですので、能力を高く評価してもらえると給料にも反映されるため、日本よりも収入が高くなることも可能です。
資格取得のためには語学力は必須で、TOEIC725点以上、TOFEL550点以上が必要になります。
そして、アメリカの看護学校に通い、NCLEXに合格しなければなりません。
看護学校も2年制、4年制、大学院のどれかを選択しますが、どれを選択しても2年以上の期間がかかりますので、資格取得までは長い道のりと言えるかもしれませんね。
それでもアメリカで働くことで、キャリアを積むことができますし、日本に帰国した後もその知識は十分に活用できますので、チャレンジする価値は十分ありますね。
福祉先進国のオーストラリア
国際看護師になりやすいのはなんといってもオーストラリアです。
もともとオーストラリアでは、日本のように看護師国家資格がありません。 英語力と学歴、臨床経験があれば良いのです。
日本で4年制大学を卒業し看護師資格を取得している場合は、アーストラリアで12~24週間の研修を受けると看護師資格を得ることができます。
専門学校や短大卒の場合は、1~2年オーストラリアの大学に通う必要があります。 英語の能力は、TOEIC870~970点、英検1級くらいのレベルが必要です。
オーストラリアでは看護師教育の中で、患者の権利やプライバシーに関することなどの訓練を徹底して行っています。その他に指圧やリフレクソロジー、アロマセラピーなどの自然療法についても学びます。
また、看護師自らが判断し行動できるようにカリキュラムが組まれていますので、患者優位の質の高い看護を学ぶことができます。
こちらも看護師資格があると永住権を得ることができます。
残業文化のないカナダ
カナダも人気の国ですが、こちらは移住民の受け入れが積極的で、看護師になることで永住権の取得が優遇されます。
時間管理・スケジュール管理が徹底されており、残業する文化はありません。そのため、プライベートタイムを大切にしながら働きたいと思っている人には最高の環境です。
<カナダは州によって看護師資格取得の条件が少し変わります> 例えば語学に関して、ケベック州では英語だけではなくフランス語が必須になっています。
どの州で看護師をするかはその州の特徴や条件を調べてから決める方が良いですね。 多少の違いはありますが、主に次の条件が資格取得の必須になります。
- 英語力
- 各州の決められた看護学校のカリキュラムを修了すること
- カナダの看護師試験に合格する
この他にも、犯罪歴がないことや健康であることなどの細かな条件もあります。
英語力は州や2年制の学校なのか4年制の学校なのかによって変わりますので、事前に確認する必要があります。
国際ボランティア
留学をしてその国の看護師資格を取らなくても、海外で働く方法があります。 国際ボランティアとして参加するというものです。
短期間での参加が可能ですので、語学力の自信がない、本当に働けるのか不安という人は、まずボラティアから始めてみるのも良いですね。
看護師のボランティア派遣を行っている組織は、青年海外協力隊、国境なき医師団、ジャパンハートがあります。
青年海外協力隊と国境なき医師団で参加する場合は、臨床経験2~3年以上、日常会話程度の英語力が必要になりますが、ジャパンハートでは通訳が同行しますので、語学力がなくても参加することができます。
また、派遣期間も半年~1年というのが多いのですが、ジャパンハートは数日~1週間の短期での参加も可能です。
派遣先はアジアを中心として、中東や中近東、アフリカなどの途上国がほとんどです。
活動可能な期間と、自身の語学力、どのような活動がしたいのかによって、どの団体で参加するのかを決めると良いですね。
国際看護師として働くポイント
国際看護師として働くためにはいくつかのポイントがあります。
- 語学力
- 就労ビザの習得
- 現地の特徴や文化を理解すること
- コミュニケーション力
- 自主性
海外で働く場合は、その国特有の文化や風習の中でケアをしなくてはいけません。 日本では当然のことが海外ではタブーということもあります。 違いを理解して、それに沿った看護が提供できるように情報収集をしておく必要があります。
ボランティアの場合は少ないスタッフで多くの患者を見ることになる場合がありますので、周りと良くコミュニケーションを取って、自主的に行動することも大切になってきます。
海外研修制度のある病院を利用する
海外で働くことは刺激にもなりますし、スキルアップにもなります。 ですから海外研修を積極的に行っている病院もあります。
この制度を活用することで、それほど長い時期ではありませんが日本の病院に籍を置いたまま海外で働くことができます。
帰国後の仕事が確保できているというのは、海外での仕事に安心して集中することができます。
いつか海外で働いてみたいという思いがあるのであれば、海外研修制度や海外留学をサポートしてくれる病院に就職をするというのも国際看護師への近道になるかもしれませんね。
【まとめ】どのような国際看護師になりたいかによって選択肢が変わる
国際看護師と言っても働き方は様々です。
海外で働く時の注意点とポイントは次のようにまとめられます。
- その国の看護師資格を取得するのか
- 途上国でのボランティアをしたいのか
- 先進国で最先端の医療を学びたいのか
- 語学力がどのくらいあるか
- どのくらいの期間働きたいか
短期間で行きたいのか、永住も視野に入れるのか、どの国で働きたいのかによって資格取得の条件なども変わってきます。
いくつもある選択肢の中から自分に合った国と働き方を見つけることが大切です。