2014年に厚生労働省から発表された「衛生行政報告例(就業医療関係者)」では、就業している看護師約143万人(正看護師約109万人・准看護師約34万人)の内、 男性看護師は全体の約7%以下の9万人(正看護師約7万人・准看護師約2万人) であると報告されています。
近年、男性看護師数は増加傾向にありますが、看護師という職種はいまだに圧倒的女性社会であると言えます。
人数は圧倒的に少ない男性看護師ですが、働き方に女性と違った特徴があります。それはスキルアップし、キャリアを積み、より良いポストや条件を目指す看護師が多いところにあります。
男性看護師は女性看護師と異なり出産や育児で仕事を辞めることも少なく、キャリアアップしやすい環境にあると言えます。
また、家庭を持つとより高い給料や待遇を求めキャリアアップを目指していくという背景もあります。
男性看護師のお仕事事情
近年、男性看護師は救急病棟を始めとして様々な職場に進出し貴重な人材として重宝されるようになってきています。
需要が高まっている理由は女性と比較し体力があるという点にあります。看護師の仕事は連続勤務や夜勤が多く、タフさがものをいう仕事であるため体力に勝る男性看護師の需要が高まっています
また、女性の視点とは異なった方向から物事を判断できるといった点でも積極的に採用している病院施設もあります。 一緒に勤務している女性看護師からは「女性が多い職場で男性がいると気持ちが和み働きやすい」といった声も聞かれています。
女性中心の仕事であったために現在でも理解の低い病院施設は存在し、更衣室や仮眠室などの男性用施設設備が不十分であるという問題も数多くありますが、今後男性看護師の活躍の場は広がり、より働きやすくなっていくと言われています。
男性看護師の給料
平成24年に発表された賃金構造基本統計調査では 男性看護師の平均年収は約487万円 となっています。 全職種での男性平均年収が約329万円 となっていることから看護師の仕事は給料が良いと言えます。
看護師の各年代平均収入を比べると男性のキャリアアップ事情を垣間見ることができます。
20代後半で男性が約375万円、女性が約453万円と78万円の開きがみられますが、30代前半になると男性が約496万円、女性が約460万円と年収の逆転がみられます。
30代後半では男性が約522万円、女性が約473万円と大きく差が開き、40代以降も再逆転されることなく男性看護師が高い平均年収となっています。
このことから男性看護師は30代になるころから、より重要なポストについていることがわかります。
男性看護師のキャリアアップ方法
自己研鑽し知識と技術を身につける
キャリアアップするためには院内研修や院外研修をできるだけたくさん受講して自己研鑽を行うことが必要となります。研修を受けることで多くの知識やスキルを身につけ仕事の幅を広げることができます。
知識やスキルを身につけると自然に周囲の仕事仲間を惹きつけ、自分の存在価値を高めてくれます。まずは今働いている職場で頼られる存在になることから始めてみましょう。また、身につけた知識や技術はどこの職場に行っても自分を助けてくれるものとなります。
日々変わっていく現代医療の中で働く看護師は生涯学習をしていくことが必要であり、知識・技術の研鑽はとても重要な課題になります。
知識・技術を確たるものにすることで、周囲から求められるものや自分への信頼もどんどん変わっていきます。自己研鑽を続けることがキャリアアップへの近道と言えるでしょう。
また、知識や技術だけではなく管理能力やコミュニケーション能力といった仕事をスムーズに行っていくための能力も同時に高めていくことが必要です。
資格取得を目指す
看護師が取れる資格には日本看護協会が定める認定看護管理者、認定看護師、専門看護師の3つの資格制度があります。
1987年に厚生省労働省が発表した「看護制度検討会報告書(21世紀に向けての看護制度のあり方)」をもとに特定分野への対応力を持った看護師の育成を目的に資格がつくられています。
医療の高度化や専門化の流れから資格を取得する看護師が増加しており、職場も資格を発揮できる環境に変わってきています。
認定看護管理者(Certified Nurse Administrator)
患者・利用者・家族の持つニーズの多様化に対して質の高い組織としての看護サービスを提供するリーダーの役割を担います。ファーストレベルからサードレベルまでの3段階の教育課程があり書類審査と筆記試験によって認定を受けます。
認定看護師(Certified Nurse)
特定の看護分野において質の高い知識と技術を認定する制度です。特定の看護分野で「実践」「指導」「相談」ができる資質を求められます。教育課程の修了と筆記試験が必要となります。
<認定看護21分野(2017年4月現在)>
緩和ケア・集中ケア・救急看護・皮膚排泄ケア・ガン化学療法看護・ガン性疼痛看護・訪問看護・感染管理・不妊症看護・糖尿病看護・新生児集中ケア・手術看護・乳ガン看護・透析看護・摂食嚥下障害看護・小児救急看護・認知症看護・脳卒中リハビリテーション看護・ガン放射線療法看護・慢性呼吸器疾患看護・慢性心疾患看護
専門看護師(Certified Nurse Specialist)
特定の看護分野において複雑な問題の解決力と質の高い知識や技術を認定する制度です。特定の看護分野で「実践」「指導」「相談」「調整」「倫理調整」「研究」ができる資質を求められます。
<専門看護特定11分野>
ガン看護・精神看護・老人看護・小児看護・母性看護・地域看護・慢性疾患看護・急性・重症患者看護・感染症看護・家族支援・在宅看護
近年、認定看護師や専門看護師の活躍の場は広がっています。資格を取得し、現場で信頼を得て仕事をすることがキャリアアップに繋がっていきます。
仕事に役立つ資格や興味のある資格があればキャリアアップのために積極的に取得していくようにしましょう。
転職をうまく活用する
今の職場で働いていて技術や知識が十分習得出来ていないと感じたとき、どうやってそれを補う努力をするでしょうか。
自分で学習するのも一つの手かもしれませんが、看護師の仕事は経験が第一と言ってもいいほど経験がものをいう仕事です。しかし、経験を得るためには経験を得ることができる場所にいる必要があります。
今の職場でいまだ手にできていないものは今後も手に入れることは難しいと考えましょう。キャリアアップを図るために転職を行うことは恥ずかしいことではありません。
実際、若くして成功を収める多くの看護師は20代後半までに一度は転職を経験しています。転職は年収アップ・キャリアアップの大きな手段です。自己研鑽と資格取得を兼ね揃えて転職活動に臨めば、自分のやってきたことを評価してくれ、より良い条件で迎えてくれるところはたくさんあるでしょう。
男性看護師がキャリアアップしやすい職場
ER(emergency room)
救急救命室は睡眠も不規則で勤務がハードな職場となります。体力で勝負しながら多くの命を救うERの仕事は男性にとってやりがいを感じることのできる職場と言えます。様々な疾患も見ることができ、将来のために多くの経験を積むには最適の職場です。
精神科病棟(病院)
大きな病院の精神科病棟は以前より男性看護師が重宝されてきた職場です。入院患者と一緒に力仕事やスポーツをすることもあり、男として自分の存在価値を多く見出せる場所になります。
危険手当などもあるため収入は一般病院より高くなっていますし、時間に追われることも少ないため経験を積みながら将来についてゆっくり考えることができます。
その他にも男性看護師が管理職に就いている職場や新しくできた病院で一から働くこともキャリアアップに繋がりやすい職場環境と言えるでしょう。
まとめ【自己研鑽と転職がキャリアアップへの近道】
看護師は生涯学習が必要な仕事です。看護師になったことを目標の最終地点とするのではなく更なる自己研鑽によってキャリアアップをめざすことで、患者や利用者に知識や技術を還元できる看護師を目指していきましょう。
その努力が年収を上げ、評価を上げ、自分の立場を確立していくことに繋がっていきます。また、転職もひとつの手段として利用できることを知り、さらなるキャリアアップに挑戦していきましょう。
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たとえ今すぐに転職するつもりがなくても、普段から転職サイトはマメにチェックしておき、条件の良い求人が出たらすぐに対応できるようにしておく事が転職を成功させるコツです。
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- 男性看護師はキャリアアップを目指すケースが多い
- キャリアアップする方法は「自己研鑽」「資格取得」「転職」
- 多くの研修に参加し自己研鑽を行うこと
- 日本看護協会と認定の資格を取ること
- 転職もキャリアアップに重要なイベントである
厚生労働省の「平成26年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」によれば、男性看護師の人数は以下のように推移しています。
- 平成22年:53748人
- 平成24年:63321人
- 平成26年:73968人
これは単純に読み解けば2年毎に男性看護師が1万人ずつ増えている計算となります。2004年時点での男性看護師数は31594人なので、約10年間で男性看護師は2倍以上増えていることになります。
では何故男性看護師は、この数年で急激に増えたのでしょうか。
その理由の一つは社会環境の変化です。1980年代~1990年代初頭までは、中小企業に就職したとしても、まじめにコツコツと働いていれば、年収が1000万円を越えるのは珍しいことではありませんでした。
そして大企業に入社できれば、何不自由ない人生が過ごせると信じられていたのです
しかしながらその価値観は次の世代に引き継がれるものではありませんでした。2000年以降のIT不況、インターネットバブルの崩壊、リーマンショックと続き、大企業が倒産、リストラをすることは珍しくなくなりました。
そして会社員として就職して10年~20年コツコツと働いても年収が300~400万円代までしか上がらない、ケースが増えました。このような社会環境の変化が起きたのです。
看護師として就職すれば、初任給から400万円以上もらえることは大いにありえます。そして一般企業のようにリストラや倒産の心配もありません。
家族を養うことを考えるのであれば、一般企業へ就職するよりも看護師になった方が安定的だと判断する男性が増えたとしても驚くことではありません。
もちろん中には看護師として働きたくて男性看護師になった人もいるでしょう。いずれにせよ男性看護師はまだまだ全体としては希少であり、非常に求職ニーズが高い職種の一つです。
そこで今回は今、男性看護師に求められることについてお伝えします!
男性看護師が重宝される職場について(精神科・整形外科・介護老人保健施設)
男性看護師は前述の厚生労働省の資料によれば平成26年時点の看護師の総数は1086779人です。
男性看護師が増えたといっても108万人のうち、100万人が女性看護師です。
つまり男性看護師は全体の6%となり、非常に希少価値が高くなっているのです。
では以下に、そんな男性看護師が重宝される職場を紹介します。
精神科
男性看護師がダントツで働きやすい職場は精神科です。もし他の診療科目で人間関係が上手くいかず失敗したとしても、精神科であればやり直せる可能性が高いといえるでしょう。
何故なら、精神科病棟ではどうしても体力が必要になる場面があるからです。
精神科では、普段は薬で大人しくしていても、急に暴れ出す患者さんが少なくありません。時には医療従事者が暴れる患者を馬乗りになって抑え込む光景もあるでしょう。
もちろんいつもそんなことが起きるわけではありませんが、そういった事態に備える為にも男性看護師は歓迎されやすいのです。
また精神疾患を患っている患者さんも、男性看護師が相手であれば大人しくなりがちです。各国が戦争の抑止力の為に武器を持つように、男性看護師はただいるだけで、暴れる人を減らせる可能性もあるのです。
これは一つの重宝される理由に過ぎませんが、男性看護師にとって精神科は他と比較すると働きやすい職場だといえるでしょう。
整形外科
男性看護師は体力が必要な職場でも求められる傾向があります。整形外科は車椅子の患者さんが多く、身体を持ちあげる等、力が必要となる機会が多くなります。
ちょっとしたことかもしれませんが女社旗である看護師の世界で上手く対応していく為には、このような女性が苦手なことに対応することが欠かせません。
男性として腕力があるところを職場内で示せた方が、働きやすくなる可能性が高いのです。
介護老人保健施設
介護老人保健施設などの福祉施設も高齢者の体位変換など、体力が必要とされる環境です。したがって介護老人保健施設も男性看護師にとって働きやすい環境だといえるでしょう。
また医師の中には男性看護師を好まない場合も珍しくありませんが、そういったストレスに悩まされる機会も少ないというメリットがあります。
男性看護師のキャリアパスとポジション
男性看護師のキャリアパスは有望だといえます。何故なら本来であればライバルとなるはずの女性看護師の多くが結婚や出産で休職、または退職していくからです。
これはどのような環境でも共通することですが、リーダーのポジションや管理職のポジションは能力の高さよりも勤続年数が大切です。
もちろん能力の高さと勤続年数の両方が大切なのですが、ある程度最先端の医療情報を学び続け、しっかりと働いていけば自然と道は開けやすいといえるでしょう。
ある程度の経験を積めばマネージャーとして管理職のスキルを磨くのか、それとも認定看護師となり専門分野のスペシャリストになるのか、それ選択を迫られることになります。
長期的なキャリアはある程度経験を積んでから考えても遅くはないといえます。しかし入職直後の環境は決して優しいものではありません。
新人時代は強面な女性上司から怒鳴られることも珍しいことではありません。また女性の職場なので噂話、ひがみ、嫉妬も多くなりがちです。そういった環境に慣れることが最初は大切です。
社会人から男性看護師になる人の増加
転職活動の結果として男性看護師を目指す人も少なくありません。特別な技術や経験が無ければ35歳を越えると転職活動が厳しくなるのは、誰もが感じることです。
その為30歳、40歳を越えてから転職が必要になった人が、就職の為に看護学校への進学を決めているのです。その数は男性看護師数の増加から年々増えているといえるでしょう。
また看護師のいいところは病院で看護助手として無資格で就職すれば、その病院から援助を受けて看護学校に通える可能性があるところです。
国家資格取得後7年以上勤続しなければならないなどの縛りもありますが、実質貯蓄があまり無い場合も、このような方法を使えば看護師を目指すこともできるのです。
男性看護師の有利な点
男性看護師は医療機関や介護施設で働けば、有利な点がいくつかあります。それは次の通りです。
力仕事をするだけで重宝がられる
何気ないことかもしれませんが、女性看護師が持てないような重たい医療機器や机や椅子、こういったものを運ぶだけで職場内では感謝されます。
これは一般企業では体感できない感覚かもしれません。女性ができないことをするだけ重宝がられるのです。
寿退社による看護師の退職に悩む人事担当者から気に入られやすい
男性看護師は基本的に結婚しても子供が産まれても変わらず働くことができます。そのことで最も喜ぶのは実は人事部などの採用部門です。
そして実際に長く一つの職場で働けば昇進もしやすくなります。
女性の患者さんから好かれる
これは意外かもしれませんが、70歳、80歳を越えてくると男女限らず異性の担当者を好む患者さんが少なくありません。若ければ女性の患者さんからは息子のようにかわいがられます。
男性看護師ならではの悩み
看護師に限らず男性が女性ばかりの職場で働くことは簡単ではありません。男性看護師ならではの悩みもあるのです。
人間関係に溶け込めない
女性ばかりの職場は中性的な男性が受け入れられやすい傾向があります。その為真面目でユーモアがない男性は仲間はずれのような状況になることが珍しくありません。
悩みを相談する人がいない
規模が小さな病院に入職すれば、医師と自分以外のスタッフは全て女性、ということは珍しくありません。女性が苦手な場合、そういった環境だと辛いですよね。
一般企業で務めた時のように同僚に悩みを聞いてもらうことは難しいと想定しておいた方がいいかもしれません。
年下の女性上司に従わなければならない
これは社会人経験があり、そこから看護師になった男性は必ず経験します。女性看護師はきつい性格の人が多いので、忍耐力が欠かせません。
男性看護師がスキル・年収アップするためには
男性看護師がスキル・年収をアップする為に取り組むべきことは以下の三つです。
- 看護師としての知識・技術を磨く
- 病院内の人間関係を攻略する
- 一つの病院で長く務める
男性看護師として医療機関で働くのであれば、これらのことを意識しておきましょう。男性の強みは一つの病院で長く勤められることです。それだけでも希少価値があるのです。
実際に男性であれば、将来的な看護部長など、雇用する病院側も想定して採用している場合が少なくありません。したがって男性看護師として医療機関で働く際は、長く働くことが大切なのです。
まとめ【男性看護師は体力や忍耐力など強さを活かすことが大切!】
男性看護師として医療機関で働く際は、体力や忍耐力を活かすことが欠かせません。男性としての役割を果たせば、それだけで重宝がられるものなのです。
また医療機関は女性が多い職場なのでコミュニケーションが大切です。男性看護師として働く際は、精神科などできるだけ働きやすい環境を検討してみてはいかがでしょうか。
- 男性看護師は精神科で重宝がられる
- 社会人を経験してから看護師を目指す看護師は少なくない
- 看護師として就職すれば安定的な収入が確保できる
- 病院から授業料のサポートを受けながら護師になる方法も存在する
- 医療現場では力仕事を引き受ければ喜ばれやすい