医療機関を受診する外国人が増えていることもあり、スキルアップの一環としてオーストラリアやフィリピンに語学留学へ行く看護師は増加傾向にあります。
そして、語学留学から帰国後、身に付いた英語力が活かせる職場を探している看護師は多いのではないでしょうか。
せっかく英語が話せるようになったのに、普段から英語を話す機会がないと英語力は衰えてしまうもの。
ネイティブみたいに話せる語学力はなくとも、多少なりとも英語力を活かしつつ働きたいと思いますよね。
そこでこの記事では、英語力が活かせる6つの職場とその実情を解説します。
看護師めぐみ
看護師みき
ジョブス
看護師が英語力を活かせる6つの職場
看護師が英語力を活かせる職場となると、主な職場は「病院やクリニック」か「製薬会社や医療機器メーカー」になります。
看護師の職場としてはどちらもメジャーですが、英語を利用する機会は職場によってかなりの差があります。
6つの職場をひとつひとつ解説します。
1、JMIP認証の病院
外国人患者の受け入れに積極的かどうかを測る一つの指標として「JMIP」が挙げられます。
JMIPに認証されている医療施設は、外国人患者の受け入れ体制が整っているとされています。
発行元が民間ではなく、国の事業の一環として行われているので信頼性もあります。
例えば、東京都内だと23院がJMIPに認証されており、以下はその一部です。
- NTT東日本関東病院(品川区東五反田)
- 国立国際医療研究センター病院(新宿区戸山)
- 東京都立広尾病院(渋谷区恵比寿)
- 東京都済生会中央病院(港区三田)
- 東京高輪病院(港区高輪)
- 虎の門病院(港区虎の門)
取り組み方や体制は病院によって異なりますが、国立国際医療研究センター病院では、国際診療部を設置して外国人患者に組織的に対応しています。
医療コーディネーターを兼任している看護師もいるので、英語を活かして働きたい方のモデルケースにもなるのではないかと思います。
ただし、当たり前ですがJMIP認証病院には複数の医療通訳者がいるので、それほど看護師に英語力を求めているわけではないのが実情です。
ジョブス
看護師めぐみ
2、外国人向けのクリニック
東京都心には外国人向け、もしくは外国人患者が多いクリニックがあります。
以下は、一部のクリニックです。
- インターナショナルヘルスケアクリニック(港区新橋)
- ナショナルメディカルクリニック(港区南麻布)
- 大門メディカルクリニック(港区浜松町)
- 新青山クリニック(港区南青山)
- 東京ミッドタウンメディカルセンター(港区赤坂)
- 六本木ヒルズクリニック(港区六本木)
- アメリカンクリニック東京(港区赤坂)
- ザキングクリニック(渋谷区神宮前)
- 千駄ヶ谷インターナショナルクリニック(渋谷区千駄ヶ谷)
赤坂や六本木周辺に外国人向けクリニックが多い理由としては、タワマンに住む上流外国の比率が多いためです。
また上記クリニック以外にも、外国人比率の高いエリアにある病院やクリニックには必然的に多くの外国人が来院します。
以下は、東京23区内での外国人比率の高いエリアのベスト5です。
- 江東区青海2丁目(外国人比率75.1%)
- 港区愛宕2丁目(外国人比率40.2%)
- 新宿区大久保1丁目(外国人比率38.7%)
- 葛飾区西新小岩2丁目(外国人比率37.8%)
- 新宿区百人町1丁目(外国人比率33.6%)
国別で見ると中国、韓国、ベトナム人が多いため、英語よりも中国語やハングル語の方が需要があります。
クリニックの規模によっては医療通訳者が数人います。医療通訳者のいないクリニックだと高いレベルの英語力が求められます。
ジョブス
看護師みき
3、トラベルクリニック
トラベルクリニックとは、海外からの渡航者や日本から海外へ行く人に特化した医療施設です。
品川イーストクリニックのように通常のクリニックに併設する形態で運営している施設が多い印象です。
看護師としての主な業務内容は、健康診断や予防接種など、検診クリニックと同じような業務になります。
トラベルクリニックは、日本渡航医学会によってリスト化されているので、ウェブ上で「トラベルクリニックリスト」と調べれば見つけることができます。
ジョブス
看護師みき
4、国際空港内のクリニック
空港ターミナルビルには、テナントとして内科や歯科クリニックが設置されています。
外国人患者数の割合はクリニックによりかなりバラツキがあり、成田国際空港クリニックの外国人患者は全体の1割のようです。
逆に羽田空港クリニックだとその割合は3割程度のようです。
しかし、空港クリニックはどこも小規模なので、看護師数は3〜4人。そのため、求人募集されることが滅多にありません。
ジョブス
看護師めぐみ
5、国際ボランティア
国際ボランティアとは、医療が発達していない途上国に出向き、医療ボランティアを通して社会貢献する働き方です。
ボランティアと言っても、所属する団体やプログラムによってはちゃんと報酬も発生します。
- 国境なき医師団(MSF)
- 青年海外協力隊(JICA)
上記の2団体以外にも無数にボランディア団体はありますが、国境なき医師団では半年〜1年の短期間での募集が多く、報酬も月に18万円程度貰えるので、比較的参加しやすい団体と言えます。
派遣されるエリアは自分で選ぶことができますが、地域によっては警備隊と同伴しないと外出もままならないこともあるので、社会貢献することに興味がないと続けることは難しいでしょう。
看護師みき
看護師めぐみ
ジョブス
6、海外にある日系クリニック
アメリカやオーストラリアなどの欧米とは異なり、特定のアジア地域なら日本の看護師資格で看護師として働くことが可能です。
その最たる例が、シンガポールとベトナム、カンボジアです。
主に日本人患者を対象とした日系クリニックでの看護業務になりますが、日常生活では必然的に英語を使用することになります。
ちなみに日本人観光客に人気のタイでは、看護師として仕事をしようとすると現地の大学に通い看護師試験に合格しなければなりません。
しかし、日本人患者を対象するタイの私立病院では、日本人患者に対応する医療コーディネーターとしての採用をよく行っています。
ジョブス
看護師めぐみ
ジョブス
英語力があっても給与には反映されにくい
英語力は重要なビジネススキルの一つに間違いありません。
外国人患者が増加傾向にある現代社会において英語力のある看護師は重宝されますが、給与にその対価が反映されるかといったら決してそうではない実情があります。
そもそも病院サイドとして、看護師には通常業務スキルを求めており、外国人患者へのコミュニケーションに関しては医療通訳がその役割を担います。
もちろん看護師が直接コミュニケーションできた方が良いのですが、看護師に英語スキルまでは求めていないのです。
しかし、少数ですが一部の病院やクリニックでは、英語力に手当を支払っている医療施設もあります。
例えば、外国人患者の多い六本木ヒルズクリニックでは、TOEICの点数に応じて手当を支給しています。
- TOEIC730点以上:15,000円/月
- TOEIC900点以上:30,000円/月
語学留学や継続学習をするコストと労力を考えると、認定資格やマネジメント力の習得に注力した方が給与アップに繋がるので、自分の看護師像を早い段階で決めた方が良いでしょう。
看護師みき
ジョブス
英語力を求める実際の求人を見てみる
実際の求人を見た方がイメージがつきやすいと思うので、英語が活かせる
東京ミッドタウンクリニック
参照:MCナースネット
外国人患者の多いクリニックですが、外国人とのやり取りに抵抗が無ければ採用される可能性はあります。
六本木ヒルズクリニックと同様にTOEIC点数によって、最大3万円/月の技能手当が支給されます。年間だと36万円にもなるので大きな金額です。
ジョブス
アムス丸の内パレスビルクリニック
人間ドック専門のクリニックでの検診業務です。
丸の内には外資系企業が多いので必然的に外国人患者が多くなります。
当求人ではネイティブレベルではなく日常英会話程度のレベルを求めているので、応募ハードルは高くありません。
ただし、ミッドタウン系列と異なり技能手当はありません。
株式会社ウェルビーマーケティングジャパン
マーケティング会社で英語関連の事務職業務です。
年俸は400万円なので看護師の平均年収と比べると低いのですが、日勤+完全週休2日制なので、夜勤に疲れてしまった方にはオススメです。
ジョブス
看護師みき
まとめ:優先順位を明確に定めた上での転職を!
外国語で円滑な対応が出来ている病院は全体の7%にすぎないので、英語力のある人材が必要であることは間違いありません。
しかし、外国人の多い病院では医療通訳者がすでに活躍しています。
中国語も英語も話せる医療通訳者は多くいるので、看護師にも語学力を求めているかと言えば、決してそうではありません。
また、看護師に英語力を求める求人だと、看護師の平均年収が下がるケースが大半です。
そのため、英語力を活かしたい気持ちは良くわかりますが、働く上での優先順位を明確に決めてから行動に移した方が後悔することは少ないでしょう。
オンライン英会話を継続しつつ、趣味として英語を利用する程度の方が良い選択かもしれません。