正職員しか経験のない看護師にとって、社会保険の手続きは自分で行う必要がないので会社に任せっきりですよね。そのため、いまいち加入条件やメリットを理解している人は多くありません。
いざ正職員から派遣看護師として働くことを決意したときに、気になるのが社会保険のことです。
社会保険は非正規社員には無縁のイメージがありますが、加入条件さえ満たせば派遣社員でも加入することができます。
この記事では、社会保険それぞれの加入条件を解説します。
みき
めぐみ
ジョブス
派遣看護師の社会保険の加入条件とは?
社会保険とは、民間の保険会社が提供する医療保険や生命保険と異なり、加入条件を満たす人は法律で加入が義務付けられています。
社会保険は、「雇用保険」「厚生年金保険」「健康保険」「労災保険」「介護保険」の5つの総称になります。
- 雇用保険:退職後の生活保障(給付)
- 厚生年金保険:障害、老齢、死亡についての給付
- 健康保険:日常の怪我や病気に対する保障
- 労災保険:業務を通しての怪我や病気に対する保障
- 介護保険:介護サービスの保障
まず派遣契約の期間や労働時間で何の保険に加入できるのかを以下の表データにまとめました。
労災保険と介護保険は契約期間や時間に関する加入条件ではないので、雇用保険、厚生年金、健康保険の表データになります。
厚生年金 | 健康保険 | 雇用保険 | |
単発派遣(月数回) | |||
短期派遣(30日以下の派遣契約) | |||
通常派遣(31日以上、週20時間未満) | |||
通常派遣(2ヶ月以上、週20時間以上) | |||
紹介予定派遣(31日以上、週20時間未満) | |||
紹介予定派遣(2ヶ月以上、週20時間以上) |
表データから雇用保険は大抵は加入することができて、厚生年金保険と健康保険は同様の条件であることがわかります。
それぞれの加入条件には、例外条件もあるので詳細をみていきましょう。
雇用保険の加入条件
雇用保険とは、失業保険と呼ばれることが多い保険制度です。職場を退職後、再就職までの生活を保証するために国から一定期間支払われる給付手当です。
雇用保険の加入条件は以下の通りです。同じ派遣会社で働くことを前提としています。
- 派遣契約期間が31日以上
- 1週間の所定労働時間が20時間以上
2つの条件を満たせば加入することになります。
2月、4月、6月、9月、11月は日数が31日未満になるため、この月に月単位の契約を結ぶと適用条件を満たさないので、加入することができません。単発派遣の扱いになります。
なお、所定労働時間とは、派遣の雇用契約書内に記載してある始業時間から就業時間までの時間から休憩時間を引いた時間です。残業時間は含まれません。
契約期間を満たし8時間労働を週3日行えば、条件を満たすので比較的どなたでも加入することができます。
例外として、月に数回程度しか行わない単発派遣は雇用保険の加入条件には当てはまりませんが、単発派遣だとしても2ヶ月連続で週20時間以上就労をすれば、雇用保険の加入条件に該当します。
加入するためには以下の手続きが必要で、派遣会社に日雇手帳を提出する必要があります。
日雇派遣労働者が一定の要件を満たした場合、労働者本人が公共職業安定所に対して所定の手続を行い、日雇手帳の交付を受ける必要があります。
参照:日雇派遣労働者を雇用する派遣元事業主の方へ|厚生労働省、日雇で働く方には特別の雇用保険があります|厚生労働省
みき
ジョブス
めぐみ
厚生年金保険と健康保険の加入条件
厚生年金保険とは、病気やケガを保証する「障害年金」、老後年金が受け取れる「老齢年金」、加入者が死亡したときに遺族に支給される「遺族年金」のことです。
健康保険とは、病気やケガをした場合、医療費の一部を負担してくれる制度です。加入者の負担額は、年齢や所得によって異なりますが、大抵の方が3割負担になります。
厚生年金保険と健康保険の適用基準は同様で、以下の通りです。
- 派遣契約期間が2ヶ月以上
- 1ヶ月の所定労働日数が、正社員の4分の3以上(月15日以上)
- 1ヶ月の所定労働時間が、正社員の4分の3以上(週30時間以上)
保険料は、派遣会社と派遣社員が折半で負担します。
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2016年10月と2017年9月に法改正により適用範囲が拡大
2016年10月と2017年9月に社会保険に関する法改正が行われ、加入条件の範囲が拡大しました。
1ヶ月の所定労働日数と労働時間が正社員の4分の3以上に満たない場合でも、以下の条件全てに当てはまれば加入が可能です。
- 1週間の所定労働時間が20時間以上
- 1年以上の派遣雇用見込み
- 月給が88,000円以上
- 派遣会社の従業員数が501人以上(500人以下でも労使協定の合意で適用可能です。)
介護保険の加入条件
介護保険とは、介護が必要な高齢者や障害者を国民全体で支える制度です。雇用保険の加入条件は以下の通りです。
- 40歳以上になると強制加入
雇用保険、厚生年金保険、健康保険は、労働条件によって加入条件がありますが、介護保険は、40歳以上であれば問答無用で加入することになります。
保険料は、派遣会社と派遣社員で折半され、健康保険と合わせて徴収されます。
労災保険の加入条件
労災保険とは、業務中や業務が原因で病気になったり、障害になった場合に、加入者本人か遺族へ保険金が給付される制度です。通勤途中の交通事故や加入者が死亡した場合も同様です。
労災保険は、派遣社員、パート、アルバイトを含む全ての労働者が対象ですので、加入条件はありません。保険料金は、雇用主が全額負担します。
社会保険の条件を満たす場合全て強制加入
「厚生年金を払ったところで、支給年齢も上がっているし将来年金が支給されるかわからない」と、考えたことはありませんか?
健康保険と雇用保険は実際に利用機会が多くありますし必要性を感じている人が多いのですが、厚生年金保険に限っては、保険金を払いたくない方は多くいるようです。
実際ツイッター内では毎月数十件も「厚生年金払いたくない」とツイートがされますし、知恵袋でも厚生年金を払わない方法を質問している投稿をしばしばみかけます。
結論から言うと、厚生年金の支給額が徴収された額を上回る損益分岐は約9年です。将来年金の支給開始年齢が70歳になるのは避けられないので、79歳になった時点で収支がプラスになります。
平均寿命が男性84歳、女性89歳であることを考えると、リスクリターンが全く伴っていないのです。
ただし、社会保険は全て加入条件を満たせば法人個人ともに強制加入になり、お金を徴収されてしまいます。
払いたくない気持ちはわかりますが、払うことを拒否することはできないのです。
ジョブス
みき
まとめ
社会保険は、正社員だけの制度だけではないことがご理解いただけたと思います。
派遣社員にとっては、労働条件によって加入できるか、できないかが判断されますが、社会保険で徴収される金額は3〜4万円になるので、社会保険で得られるメリットを考慮し、適切な派遣契約を結びましょう。
また、社会保険の加入手続き自体は、派遣会社が行ってくれるため、被保険者が書類を準備したり市役所などに行く必要はありませんよ。
以下の記事では、看護師200人にアンケート調査をした上で口コミ評価の高い派遣会社を紹介していますので、合わせて読んでおくと良いでしょう。