「若手の看護師は出世(昇進)を望まない人が増えている」なんて話をよく耳にします。
実際に、厚労省が2018年に行なった「人材育成に関する調査(全ての業種を含む)」によると、61%の社会人が出世したくないと回答しました。
医療業界だと、実務経験3〜5年目でリーダー業務を任され、早くて8〜9年目で主任看護師への打診をされます。
今後の身の振り方を考える上でも他の看護師が「出世・昇進」に関して、どう考えているのか気になる方は多いはず。
そこでこの記事では、非管理職150人、管理職50人の看護師に「管理職になりたいか(非管理職には続けたいか)」アンケート調査を行いました。
非管理職、管理職それぞれの考えや理由を解説していますので、あなたの悩みを解説する後押しになればと思います。
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看護管理職に関するアンケート結果
非管理職150人の看護師に「管理職になりたいかどうか」のアンケート調査を行いました。
- 管理職になりたい:23%(34人)
- 管理職になりたくない:42%(63人)
- どちらでもない:35%(52人)
アンケート結果としては、管理職になりたくないと答えた方が42%で最も多い回答になりました。
管理職になりたくない、どちらでもないの合計を合わせると8割近くにもなるので、看護師と言えど厚労省の調査結果通り出世に興味のない人が多い結果でした。
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管理職になりたい看護師の理由
管理職になりたい看護師の理由は様々ですが、分析すると主に5つに分けることができました。
- キャリアの幅を広げたいから
- マネジメントがしたいから
- 夜勤が辛くなってきたから
- 年収を上げたいから
- 同年代の看護師も管理職になっているから
当たり前ですが自分本位の理由が大半で、「病棟を良くしたい」「働きやすい環境にしたい」と言った理由はほぼありませんでした。
看護師は一般スタッフと管理職の年収差が150〜200万円以上あるのですが、年収を上げたいとの理由はそこまで多くありませんでした。
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管理職なりたくない看護師の理由
管理職になりたくない看護師も理由は様々ですが、分析すると主に5つに分けることができました。
- 責任が重くなって重圧やストレスに耐えられないから
- みんなを引っ張れる自信がないから(リーダーの経験がない)
- 看護がしたくて看護師になったから(現場の方が楽しい)
- 残業が多くなって仕事づけになりそうだから(プライベートがなくなる)
- 一般スタッフと看護師長に気を使わないといけないのは疲れる
5つの理由の中でも、責任が重くなることの重圧やストレスが多くの方の理由でした。
生死に関わる現場での責任は一般企業のそれとは全くの別物なので、アンケートの結果にも納得感があります。
他にも、「身近で働いている主任看護師が辛そう」や「残業代が出ない」と言った理由もありました。
ここで一つ指摘しておきますが、「管理職=残業代が出ない」は労働基準法違反です。残業代うんぬんと役職は関係ありません。
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管理職に絞ったアンケートだと異なる結果に!
現役管理職50人の看護師に「管理職を続けたいかどうか」のアンケート調査を行いました。
- 管理職を続けたい:75%(38人)
- 管理職を続けたくない:25%(12人)
アンケート結果としては、非管理職の結果とは真逆で、管理職を続けたい人の割合が多く75%にも及びました。
実際に管理職として勤務していく中で、実情を知れたこと、その中でやりがいを持つことができたので管理職を続けたい人が多いのでしょう。
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管理職を続けたい看護師の理由
実際のアンケート回答を以下に紹介します。
管理職の経験を積めるので、看護業務以外のやりがいを感じる(一般病院)
患者だけにベクトルを向けるより、全体を見渡せる管理職の方が私に合っていた(一般病院)
残業も多く責任もありますが、その分の対価をしっかりと貰える(大学病院)
一般スタッフのままでは経験できない業務にやりがいを感じている、といった回答が多数ありました。
また、残業が増えたことに対するマイナス面の言及が多かったのですが、それでも労力に見合った対価を得られているようで総合的には満足値が高いようです。
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管理職を続けたくない看護師の理由
こちらも実際のアンケート回答を以下に紹介します。
普段の看護業務に加えて看護師長から支持される業務もあるのでかなり大変(大学病院)
クレーム対応やスタッフに嫌われないように接しなければいけないのは精神的にまいってしまう(一般病院)
役職手当がつくけど夜勤と残業手当が減って、仕事量に対して対価が釣り合っていない(一般病院)
管理職を続けたい人と続けたくない人の理由は表裏一体でした。
役割分担(等級階層)が整備されていない、また、役職者数が少ない病院だと管理職になる事で多くの悩みを抱えることになります。
同じ管理職でここまで理由が正反対だと、本質的な問題は「職場」にあるのでしょう。
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まとめ:後悔する可能性があるならやるべき
ここまでアンケート結果を紹介してきましたが、最終的に管理職になるかならないかはあなた次第です。
ただ、管理職への打診を断ったことで考えられる後悔とデメリットがあります。
- 管理職の同年代に対する劣等感と年収差
- 管理職になりたいと思ったタイミングではなれない
- 管理職の経験があれば転職で有利だった
- 年下の看護師が急に上司になって対応しずらい
一度管理職を断ってしまうとチャンスは二度と来ないものです。
もちろん管理職を断る事で得られるメリットはありますが、失うデメリットも多くあります。
40代、50代になってから「管理職になっておけば良かった」と後悔する機会はきっとおとずれます。
やらずに後悔するより、やって後悔したほうが、自分自身のキャリアと成長にもなるので、熟考した上でチャンスを活かして見ましょう。