助産師の就業者数は年々増加しており、日本看護協会によると2005年では27,042人、2014年では37,572人です。看護職の中では人口に対する割合は一番少ない職業です。
助産師の学校の数がそれほど多くはなく、定員は専門学校20名程度、大学や短大では20~30名になっています。
倍率も高く入試も難しいため入学するまでが大変です。また看護師は準看護師、保健師は男性でもなれますが、助産師は女性しか資格を取ることができないため、他の看護職と比べて少なくなっています。
助産師になるためには?資格取得方法と合格率
助産師になるにはいくつかの方法がありますが、まずは正看護師の資格を取る必要があります。
その後は次のような文部科学大臣の指定した学校で1~2年間、助産過程を修了し卒業すると助産師の受験資格が得られます。
- 助産師の専門学校
- 大学の助産専攻科
- 助産過程がある大学院
- 短期大学の助産師専攻科
看護大学などでは看護師受験資格と助産師受験資格の両方を得られるところもあります。 年1回の国家試験に合格すると助産師になることができます。
助産師試験の合格率
- 2012年95%
- 2013年98.1%
- 2014年96.9%
- 2015年99.9%
- 2016年99.9%
高い合格率からもわかるように、落とすための試験ではありませんので、きちんと勉強をしていたら難しい試験ではないと言えます。
助産師の仕事内容
助産師とは、「厚生労働大臣の免許を受けて、助産または妊婦、褥婦、新生児の保健指導を行うことを業とする女子」と法律では規定されています。一般的には出産の介助と認識されていることが多いですが、それだけではありません。
妊娠中の母体と胎児の健康管理
妊娠中の運動や日常生活における指導、栄養管理と指導、定期健診時の介助など
出産の介助
正常分娩の介助、正常分娩が困難な場合や異常の兆候が認められた場合は医師の指示の下介助をする
妊産婦の心のケア
妊娠中の母親学級・父親学級の開催など
出産後の褥婦の体調管理
母乳指導、産後の生活指導、食事指導
新生児の保健指導
入院中の育児に関する相談・指導
妊娠から出産まで一連の流れを妊婦に寄り添い幅広く母親と胎児、新生児の保健指導を行うのが助産師の役目になります。
助産師が人気職業の理由
正常な出産だけではなく、時には悲しい場面に立ち会うこともある助産師ですが、助産師数が増加している魅力にはどのようなものがあるのでしょうか。
新しい命の誕生に立ち会える
出産に立ち会い、命の尊さを感じられます。
出産の喜びを一緒に味わえる
妊娠中から指導や相談を通して心にも寄り添うことで信頼関係ができ、出産時は共に喜びを感じることができます。
開業権がある
正常分娩の場合は助産師のみで介助を行うことができ、医師と同様に開業権があります。
高収入
いつお産があるかわからない、時間が長時間になることもあり、収入は高めです。
復職や転職がしやすい
助産師の人数も不足しており需要が常に高い状況にあります。ハードで責任のある仕事ですが、やりがいと魅力も大きな仕事と言えます。
助産師の年収・給料・賞与
いつお産が始まるかわかりませんし、どの程度時間がかかるかもわからないため、長時間勤務になることもあります。
そのため基本給がそれほど高くなくても時間外手当や深夜手当などの手当てや夜勤の回数によって年収には幅があります。おおよそ400万円から500万円程度になっています。
産婦人科医の不足、助産師の不足により、夜勤回数が増えている現状や交代制とはいえ休日出勤がある場合もあるため、他の看護職よりも少し高めに給料額を設定しているところもあります。
助産師の求人情報
就職先としては、病院やクリニック、保健所、助産院、助産師学校、市町村保健センターなどがあります。
開業権が与えられている助産師ですが、実際に開業しているのは2.4%と少なく、助産院で働いている人を含めても4.8%になっています。
それに対して、 病院とクリニックに就業している割合は全体の87% になっており圧倒的な人数です。
また同じ看護職の看護師や保健師が看護学校などの教育機関での就業が1~2%なのに対して、助産師は4%と高くなっており、後進の指導に目が向けられているのは特徴と言えます。
毎年定年などの理由で助産師が辞めていく一方で、新しい助産師のなり手はまだ十分とは言えません。そのことからも需要が高い仕事だと言えます。
まとめ【社会における助産師の必要性】
少子化が問題となっている現代、ひとりの女性が生涯で産む子供の数は減っています。また核家族化によって近くに相談できる先輩がいないという状況にもなっています。
産婦人科医の減少への対応と、妊産婦の妊娠・出産・育児に対する多用なニーズに対応するために始まった助産師外来も全国で350件を超えており、授かった命を大切に産み育てるために助産師が担う役割と責任は大きなものとなっています。