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診療補助のグレーゾーン!看護師の特定行為をズバリ答えます

看護師の特定行為

看護師として働いていくなら、特定行為についての理解が欠かせません。特定行為とは法律で認められた、看護師ができる診療補助を指します。この理解ができていなければ、気がつかない間に、業務中に法律を違反してしまうリスクがあります。

グレーゾーンだと思っていた診療補助が実際には違法だったとしたら、何かトラブルが起きた際に責任を追及されることにもなりかねないですよね。そこで今回は看護師の特定行為をズバリ、と紹介していきます。

診療補助の捉え方・対応が病院によりバラバラだった問題点

看護師の特定行為1

厚生労働省の公開資料「看護師特定能力認証制度骨子(案)に対する意見」では、特定行為を明確化することの必要性が記されています。

その主な理由の一つは、診療の補助に含まれるか否かが明確でない、看護師業務が相当範囲存在していたことにあります。

看護師は診療補助行為を実施するため、チーム医療の中でも、特に医師と密接に関わります。そのため必然的に高度な知識や判断を必要とする場面と遭遇する可能性が高くなります。

例えば緊急の患者が複数名同時に救急で運ばれてきた場合、医師の手が追いつかなければ、看護師による、咄嗟の判断が必要になるケースがあります。しかしその咄嗟の判断もどこまでが看護師の診療補助の範囲なのか、ということが以前は明確に規定されていなかったのです。

看護師の業務範囲が明確でなければ、咄嗟の時に看護師が業務範囲を超えた対応をしてしまうリスクがあります。そしてそういった緊急事態の際に求められる判断は高度な知識と技術を要することが少なくありません。看護師の業務範囲が明確でなければ、高度な知識と技術に関する教育も実施できないですよね。

問題点はそれだけではありません。看護師が行うべき診療補助がどこまでの業務範囲を指すのは、これまでは法令で具体的に定められていませんでした。そのため医療機関によって、診療補助の捉え方・対応がバラバラだった、という問題がありました。

転職をした看護師からすれば、以前の病院ではCまでが診療補助の範囲だったのに、転職先の病院では、Bまでが診療補助とされていた、というようなことが発生していたのです。こうなると、看護師は転職の度に全く新しい技術を必要とされることになりかねません。

もしくは前職で身につけた技術を使う機会がなくなってしまいます。これらのことが問題視され、2015年2015年3月13日にある法律が施行されました。

それが「保健師助産師看護師法第三十七条の二第二項第一号に規定する特定行為及び同項第四号に規定する特定行為研修に関する省令」です。

この法律が施行されたことにより、これまでグレーゾーンだった看護師の診療補助が、特定行為として明確になりました。そして看護師が受けるべき研修の内容も明示化されたのです。

特定行為研修に関する省令が施行されたことで、看護師は研修でより高度で専門的な技術を獲得できるよいになりました。そして診療補助の捉え方が医療機関ごとでバラバラだったという問題を制度的には解決することができたのです。

そもそも看護師の特定行為とは?

特定行為が明確になったことで、診療補助のグレーゾーンが無くなったことは前述した通りです。ではそもそも看護師の特定行為とはどの程度の範囲を指すものなのでしょうか。特定行為研修に関する省令では、38の行為が定められています。その一例は以下の通りです。

特定行為

  • インスリンの投与量の調整
  • 抗精神病薬の臨時の投与
  • 抗不安薬の臨時の投与
  • 脱水症状に対する輸液による補正
  • 持続点滴中のカテコラミンの投与量の調整など

このような具体的な診療補助行為が38、規定されています。この中でも、インスリンの投与を看護師が行うことは、ほとんどの医療機関で当然のことです。しかしインスリンの投与量の調節となると、診療補助になるのかどうかは、医療機関によって統一されていたとは限りません。

特定行為研修に関する省令が施行されたことで、その曖昧さがなくなり、看護師の診療補助が明確に定められたのです。

特定行為に係る看護師の研修制度とは

看護師の特定行為2

特定行為が具体的に定められたことで、施設管理者や看護管理者の役割はより重要なものとなりました。その理由は、施設管理者や看護管理者が厚生労働省の定める研修を受講して、その内容を医療機関や施設内に反映させる必要があるからです。

では特定行為に係る看護師の研修制度とは具体的にどのようなものなのでしょうか。特定行為研修を受けることで、看護師は手順書に従って、特定行為を実施することができるようになります。

在宅医療や急性期医療に携わる看護師にとって、特定行為研修を受講することは特に重要です。急性期医療の現場には特定行為に当てはまる診療補助行為が発生する可能性が高いからです。

また研修を受講することはキャリアアップにもつながります。看護師として高度な知識と技術を身につけられることができれば、現場で活躍の幅が広がることは間違いありません。

研修の修了者は看護師の状態を見極める能力が備わります。手順書に基づいた特定行為が明確に実施できるようにもなります。施設や医療現場での役割はより重要なものとなるといえるでしょう。

特定行為研修の研修期間

特定行為研修の研修期間は、1日や2日で終わるものではありません。前述したように、特定行為は38定められています。

そのため研修する時間数は、共通化もこうだけでも315時間に及びます。区分別科目は全て網羅すれば72時間。全てを網羅しようとすれば、合計で380時間を越える研修を請けなければいけません。

そうなると必然的に研修期間は長期に及びます。最短でも4カ月、長ければ2年間の研修期間が必要です。その期間が具体的にどの程度になるのかは、厚労省から指定を受けている研修期間によって異なります。特定行為研修を受講する際は、それなりの期間が必要となることを理解しておきましょう。

また特定行為研修は受ける期間や区分別科目によって金額が異なります。厚労省の公開資料「未来の医療を支える特定行為研修のご案内」によれば、その金額はおおむね30万円~250万円。

決して安い金額ではありません。しかし現在貯蓄が無かったとしても受講を諦める必要はありません。特定行為研修を受けることが目的なら、支援制度が活用できるからです。

特定行為研修の支援制度

個人的に特定行為研修を受講するなら、活用を検討すべき支援制度があります。それは「一般教育訓練給付」です。一般教育給付金制度は、ハローワークに申請することで受けられる制度。

雇用保険の被保険者であれば活用することができます。また、雇用保険の被保険者でなくなったとしても、1年以内であれば活用が可能です。

この制度は厚生労働大臣の指定する研修や講座を受講して修了者となれば、後から支払った費用の2割が受給できる、というもの。 上限額は10万円 ですが特定行為研修を個人的に受講するなら、活用しておきたい制度です。

まとめ【看護師としてのスキルアップを図るなら特定行為研修の受講を検討しよう】

ここまで看護師の特定行為について紹介しましたが、いかがでしたか?特定行為研修は制度ができて間もないため、受講すれば看護師としての市場価値が高まります。そして手順書に従って正確な特定行為ができることで、現場ではより良い医療の提供に貢献できます。

看護師の特定行為は高度な知識と技術を必要とします。今後看護師としてのスキルアップを図るなら、特定行為研修の受講を検討してみては、いかがでしょうか。

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