2019年を迎えた現在、派遣勤務の経験がない看護師にとって、2015年に改正された労働者派遣法の内容に馴染みのある方は少ないのではないでしょうか?
派遣社員にとってメリットになる改正内容もありますが、期限の制限が加わったことによりデメリットと言える状況にも陥っています。
長期的な生活設計を安定させるためにも、自身に関わる法改正内容を把握しておくことは重要です。
そこで、この記事では、労働者派遣法の改正内容をわかりやすく解説し、派遣社員の今後も含めて紹介します。
めぐみ
みき
ジョブス
派遣法改正は派遣看護師にとって何が変わったの?
労働者派遣法はこれまで数回にわたって派遣社員の雇用を安定させるために法改正が行われてきました。
直近で行われた労働者派遣法は2015年。この改正では働く側の派遣社員に関わる改正も多くありました。
具体的には以下の4つになります。この他にも変更点はありましたが、派遣社員にとって直接関わることではないので割愛します。
- 雇用安定措置
- 均衡待遇の推進
- キャリアアップ措置
- 期間制限の見直し
1、雇用安定措置
派遣会社は、派遣先(同一の組織単位)に1年以上派遣させる見込みのある場合には、派遣契約の終了後にも雇用を継続させるよう以下の措置を行う必要があります。
- 派遣先への直接雇用の依頼
- 新たな派遣先の提供(合理的なものに限る)
- 派遣元事業主による無期雇用
- その他雇用の安定を図るために必要な措置
看護師の派遣需要は多いので契約終了後に新たな派遣先が決まらない可能性は限りなく低いですが、万が一派遣先が決まらなくても、雇用安定措置により派遣先に直接雇用されることになるので急に収入がゼロになることはなくなりました。
2、均衡待遇の推進
派遣先で同一業務を行う正社員と派遣社員の給与に差がないように、同等の給与が保証されるようになりました。
派遣先は、派遣元へ賃金水準の情報提供。派遣元は、派遣社員の賃金水準の均衡を義務付けられたので、低賃金で働かされるリスクがなくなりました。
派遣会社と派遣元は、給与に差がないよう(派遣社員の給与が不当に低賃金にならないよう)具体的なアクションを実施ないとならず、義務違反となると厳しい行政指導の対象となります。
3、キャリアアップ措置
派遣会社は、派遣社員に派遣元へ派遣する前に教育訓練を行わなければなりません。
また、1年以上の雇用見込みの派遣社員には、1年間に8時間以上の教育研修が受けられるようになりました。教育研修時間も給料が発生します。
ジョブス
めぐみ
みき
4、期間制限の見直し
- 派遣先(同一の事業所)が派遣社員を受け入れられる期間は、原則3年が限度(3年を超えて受け入れる場合、一定の手続きが必要)
- 派遣社員が派遣先(同一の組織)で働ける期間は、3年が限度
例外として無期雇用されている派遣社員と60歳以上の派遣社員は対象外となります。
今回の改正で同一の事業所に最大3年まで働くことができるようになったので、より多くの派遣看護師が安定して収入を確保できるようになりました。
みき
ジョブス
派遣社員の今後はどうなるの?
「2018年問題」という言葉を耳にした事のある看護師は多いのではないでしょうか?
2018年問題とは、2015年の改正によって派遣期間が見直されたので、有期雇用者を無期雇用にする事を避けるために、雇い止めをする派遣元が多発する可能性がある事を問題提起したものです。
実際に、事務職につく一般職に関しては、無期雇用への転換をめぐって雇い止めトラブルが多数報告されています。
ただし、派遣看護師に限っては、そもそも3年を超えて同一事業所に働いている方は、私の知る限り一人もいません。
医療専門職であるからこそ、派遣先を簡単に移り変われますし、長期間派遣勤務する看護師は少ないのが現状です。
まとめ:派遣社員側が有期雇用を上手に使うべし
派遣に関する2018年問題は、派遣社員の待遇が良くなった反面、雇い止めにつながる問題もあります。
さらに、医療現場で働く看護師にとっては、介護報酬と診療報酬の同時改定による問題もありました。
介護報酬と診療報酬の改定によって、利益が縮小した病院や介護施設は少なくありません。
利益が縮小するということは、働く労働者の給料に影響を与えます。
2019年現在、これらの2018年問題の影響が出ていますが、働く側にとっては派遣会社や派遣元の言いなりになるのではなく、上手に「使いこなす」ことが重要です。
認定看護師の取得や専門分野の研磨など、スキルを磨く事を忘れず、派遣という働き方を使いこなしましょう。
以下の記事では、看護師200人にアンケート調査をした上で口コミ評価の高い派遣会社を紹介していますので、合わせて読んでおくと良いでしょう。